ITエンジニアについて


ITエンジニアは、何をしているのかわかりづらい、又、3K(きつい、帰れない、給料が安い)、30歳定年説等の誤解が未だに多くあるので、 ITエンジニアの現状について、まとめてみました。

作成日:2016/08/28


ITエンジニアの仕事 / ITエンジニアの職種 / ITの変化 / プログラマ30歳定年説とその対策

ITエンジニアの収入 / ITエンジニアと資格 / ITエンジニアの将来性


ITエンジニアの仕事


ITエンジニアは、ビジネススキームの改善や、作業自動化を実現するシステムを作成する事で、会社組織等の作業効率を高める事が主な責務となります。

仕事の作業効率を高める為には、現行スキームの課題分析(As-Is)をし、その後、更に効率の高い作業スキームへ改善(To-Be)する必要があるので、 ITエンジニアには、コンサルタントと同様の側面が求められます。又、プロジェクトでは、多数のITエンジニアを管理する必要があるので、 管理者(マネージャ)の側面も求められます。 これらの事から、ITエンジニアは、単にプログラムを作成するだけではなく、多角的な能力を求められますので、辛い部分が多いかと思いますが、 挑戦する気持ちを失わない人にとっては、様々な可能性に挑戦できる、やりがいがある仕事なのでは、と思います。

帰れない、労働時間が長いと言う誤解ですが、過去には、長時間労働の問題がございましたが、現在は、労働基準法等を遵守しなければ、 会社がペナルティを受けるように改善されているので、どの企業でも、残業時間は、多くて、月80時間程度で、更に一年に何ヵ月までと制限されていますので、 ほとんど心配は不要です。ただし、残業代が支給しない会社もあるようなので、そちらについては、問題の解消が必要と思われます。

その他のITエンジニアの特殊な点は、正社員であっても、基本的に、自社ではなく、お客様の環境で作業する客先常駐が多い事です。 客先常駐する理由は、システムに関わる秘密保護やお客様が作業進捗等を確認する為に対面での作業を望まれる事等があげられます。 本状況が基本の為、常駐先に自社の管理者等が一緒に参画しない場合は、勤務先企業は自社の社員状況や教育について、 ほとんど管理できない問題が発生する事となります。この事等から、ITエンジニアは、会社への帰属意識があまりありません。


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ITエンジニアの職種


ITエンジニアの主な職種は下記の通りで、余程小さなプロジェクトでない限り、基本的に、分業制です。 その為、ITコンサルタントとシステムエンジニア(以後、SEと記載)、SEとプロジェクトマネージャ、 プログラマとSE(テクニカル系)のように、仕事内容が被る分野以外については、職種を跨ぐ事はほとんどありません。

システム開発工程と主な職種の関係
職種 企画 開発 運用 備考
設計 製造 テスト 移行
要件定義 基本設計 詳細設計 プログラミング 単体 結合 システム ユーザ
ITコンサルタント SEの上位職種の扱いになるが、業務知識やITの理解が低い若手でも、コンサルタントを名乗る人がいたりするので、立ち位置が曖昧。
プロジェクトマネージャ 主にプロジェクト管理を担当。プロジェクトマネージャを横断的に管理するPMOという職種も有。システムの概要が分からないと全体の管理が難しいので、SE(業務系)も一部兼任している事が多い。
SE(業務系) 金融業、通信業、流通業等の業務知識を元にシステム設計を担当。
SE(テクニカル系) システム方式、コーディング規約等の設計やシステム性能改善等を担当。今後は、クラウドサービスを利用する事で、これまで以上に、作業範囲が広くなる可能性が高い職種。
プログラマ プログラム等の作成を担当。 プログラムには、単純なものから、最適化等を扱う 高度なものも存在する為、一括りにする事は難しい。最適化や統計学、等の高度な数学を扱う事が可能なプログラマは、大手企業でも重宝される傾向有。
DBエンジニア DA DBA データ全体、DBの運用等を管理。ここ数年で注目されているビックデータの分析等で中心となる立場。
インフラエンジニア ハードウェア・ネットワークの基盤設計・運用等を担当。クラウドサービスと競合する可能性が高い職種の為、立ち位置等に注意が必要。
運用管理 システム運用・監視、保守等を担当。システム開発については、別の職種に委託。

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ITの変化


ITは、変化の速度が早いと世間一般的に言われているようですが、分野によって状況が異なりますので、そちらについて述べます。

変化の速度が早いのは、CPU・ハードディスク等のハードウェア分野です。特にハードディスクについては、 容量が1991年時点の100MBから2016年の10TBで、 差が10万倍ある等、大きな変化が発生しています。この結果、現在は、自社でデータを保持するのではなく、大容量のハードディスクを保持しているGoogle社、Microsoft社等のクラウドサービスを使用する事で、 可用性の向上とコストを下げる事を同時に実現する等、今までにない選択肢が増えています。又、クラウドサービスを使用する事により、今まで、インフラエンジニアが担当していたサーバやネットワークの設定が 簡略化される事で、一般のエンジニアでも、その分野を簡易に扱えるようになる等、よりITエンジニアの多角化が促進されています。

逆に変化が少ない分野は、システム開発です。システム開発は、ここ10年程度は、根本的な技術の変化がほとんど無いです。
例を挙げますと、以前、私が記載した「コンピュータ運用方式の変化について」で触れたとおり、 コンピュータ運用方式は、メインフレーム→C/S→WEB→リッチクライアント→クラウドサービスに内容が変化していますが、 現在は、この組み合わせの中から、選択や組み合わせる時代となっており、その結果、技術的には、マイナーチェンジがほとんどです。

又、プログラミング言語については、以前、私が記載した 「プログラミング言語シェア等について」のとおり、 今までに、主要言語が、COBOL→C→VB→Java・Javascript等へ移り変わってきましたが、C、Java、Javascript等プログラミング言語は、20年以上使用されており、 又、以後に作成されたC#は、Javaとかなり似ている等、言語自体に、かなり高い親和性があるので、言語を乗り換える事も容易です。 その他、Android開発の中心言語は、Javaとなっている、又、 フレームワークのほとんどがJava向けである等、関連性も高いです。 この状況の為、プログラムを深く学ぶ為には、言語というよりは、むしろ、フレームワーク、数学を使用した最適化向けアルゴリズム、統計学等を学ぶ事が重要と思われます。


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プログラマ30歳定年説とその対策


プログラマ30歳定年説は、30歳になるとITの変化についていけなくなる、又、作業量に対応できなくなるので、仕事を続けるのが難しいという説です。 本説は、現在でも、半分当たっているように思われます。 まず、外れている点から、申しますと、現在は、上記で記載したITの変化のように、ITはほとんど変化していない為、それを原因にプログラマが仕事を失う事は、ほぼありません。 逆に当たっている点は、詳細設計書等を元に、比較的簡単なプログラムを作成するだけのプログラマについては、コストの安い中国・インド等のオフショアとの戦いとなる為、 単価が低い若手でないと仕事をし続けるのが難しい事です。

本節に、ITエンジニアが直面しない為には、対オフショア等向けに、プログラマ以外の別の職種も担当できるように、仕事の幅を広げていく必要があります。 ただし、一般的なスキルアップとされるプログラマ→SE→プロジェクトマネージャというスキルアップは、現実のプロジェクトでは、ほとんど機能していない為、 注意が必要です。

なぜ機能していないのかですが、大手システム会社では、プログラマを単価の低い低位の職種と考えている事から、社員をプログラマにしたがりません。
その結果、プログラミングができないITエンジニアが多数輩出され、今度は、そのエンジニアは、設計の仕事をプログラマに渡してしまうと、 自らの仕事を失ってしまう事から、プログラマが設計をできるようになる事を望まないからです。


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ITエンジニアの収入


全職種の平均年収が400万程度と考えると情報通信業は、600万程度となりますので、 ITエンジニアの収入がほかの業種より低いとは考えられませんが、情報通信業には、様々な種類がございますので、そちらについて、まとめます。 又、システム開発は、金融系企業向けが多いので、金融業についても、付加しています。

上場している金融・情報通信業の収入傾向(上位)
大分類 小分類 平均収入(万) 平均年齢 代表的企業 備考
証券系 上位 1,200 40 野村・大和証券等 業種は金融業。取引等は、システムで実現されているので、ITと関連が深い。収入は、市場の動向に影響を受ける部分が大きいので、賞与の割合が多く、その結果、変動幅が大きい。
保険系 1,200 45 東京海上、損保ジャパン、MS&AD等 業種は金融業。保険料の計算等で数学を扱う事が多い為、ITと関連が深い。
銀行系 1,100 40 三井住友・三菱UFJ・みずほ銀行等 業種は金融業。ATM等の振込処理等で、ITが使用されているので、ITとの関連が深い。医者、弁護士の平均年収1,100万に匹敵。
シンクタンク系 - 1,000 40 野村・三菱総研等 通常のシステム開発だけではなく、他社でも使用可能な業界スタンダートとなるシステム(パッケージ)等を販売している為、収益率が高い。
ベンダ系 - 1,000 40 日本オラクル オラクルは、DBシェア世界ナンバー1。更に、システム開発で、良く使用されるJava、MySQL等も保持している。
通信系 通信・電話等 900 40 ソフトバンク、KDDI、NTT 最近の主な収益源は、ケータイ事業。
証券系 中位 800 40 GMOクリック、松井、マネックス、SBI証券等 ネット証券等のリテール向けサービスが主。各社生き残りをかけた熾烈な戦いを展開中。公認会計士の平均年収800万に匹敵。
システムインテグレータ系 上位 800 40 NTTデータ、TIS、日本ユニシス等
上場している金融・情報通信業の収入傾向(中位)
大分類 小分類 平均収入(万) 平均年齢 代表的企業 備考
ゲーム系 SNS系 700 30 グリー、サイバーエージェント、ガンホー等 昨今のスマホゲームブームの恩恵を享受。
その他 700 35 コナミ、コーエーテクモ等
WEB系 - 700 35 ヤフー、楽天等 代表的なサービスは、Yahoo!サイトヤフオク!楽天市場等。
銀行系 中位 700 40 スルガ・新生・あおぞら銀行等
【参考】フリーエンジニア - 700 - エージェントの大手は、PE-Bank社等。エージェントはクライアントと直契約している事も多いので、ITエンジニアの収入も比較的高く、上位エンジニアの収入は、1,000万を超える。
システムインテグレータ系 中位 600 40 アイネス、富士ソフト、クレスコ等 中位以下の企業は、上位企業の下請けが多い為、収入を向上させることが難しく、その結果、上位企業への転職や個人事業主となるITエンジニアが比較的多い。
通信系 ホスティング等 500 35 さくらインターネット、GMOインターネット等 価格競争が激しいせいか、収入は低め。

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ITエンジニアの職種と資格


ITエンジニアは、プロジェクト参画時に面接がある事が多いので、その際に資格があれば、プロジェクト参画の可能性が高まる事から、 経験が少ない、又は、仕事の幅を広げたい方等は、積極的に資格を取得した方が良いと考えています。

Oracle等のベンダ系試験の多くは、出題形式が選択式なので、比較的容易ですが、それ以外の形式は、知識を蓄えた上で、出題者の意図を読み取り、 更に簡潔な内容を記述(返答)する必要がある為、一定基準以上の現代文の読み書き能力がなければ、合格ラインに達する事は難しいと思われる為、 比較的に短時間で取得可能なベンダ系資格を先に取得する方が、費用対効果が高いと思われます。
ちなみに、ITエンジニアが多く受験するIPAが主催している情報処理技術者試験のITSSレベル4等は、ITSSレベルが同じでも、 ベンダ系試験より明らかに難易度が高い事に対応する為?か、2009年前後より、合格率が7%(偏差値66前後)から14%倍(偏差値60前後)となる等、 難易度が低下しておりますので、より合格しやすくなっています。

職種とIT系資格1
職種 試験名 主催者 ITSSレベル 偏差値 出題形式 備考
ITコンサルタント 公認会計士 公認会計士・監査審査会 - 70 選択・記述式 会計の専門家。
アクチュアリー 日本アクチュアリー会 選択・論述式 保険・年金等の数理の専門家。
ITストラデジスト IPA 4 66 選択・記述・論述式 情報処理技術者試験の最難関試験。
技術士 文部科学省 - 選択・記述・口頭式(論文提出要)
中小企業診断士 経済産業省 62 選択・記述・論述・口述式
ITコーディネータ ITコーディネータ協会 52 選択式
プロジェクトマネージャ プロジェクトマネージャ IPA 4 64 選択・記述・論述式
PMP試験 プロジェクトマネジメント協会 3 56 選択式
職種とIT系資格2
職種 試験名 主催者 ITSSレベル 偏差値 出題形式 備考
SE(業務系) システムアーキテクト IPA 4 62 選択・記述・論述式
証券アナリスト 証券アナリスト協会 - 58 選択・記述式
日商簿記検定2級 日本商工会議所 54 記述式 選択式ではないので、イメージより難易度が高い。
ファイナンシャル・プランニング技能士2級 厚生労働省 52 選択・記述式
一種外務員資格試験 日本証券業協会 50 選択式 証券会社・銀行・金融商品仲介業者等で、証券取引・デリバティブ取引の勧誘等の行為を行う場合に、本資格が必要。
SE(テクニカル系) システムアーキテクト IPA 4 62 選択・記述・論述式
情報セキュリティスペシャリスト 60 選択・記述式 他のIPA試験のITSSレベル4と異なり試験は年2回実施。
Java Gold Oracle社 3 56 選択式
MCSE Microsoft社
職種とIT系資格3
職種 試験名 主催者 ITSSレベル 偏差値 出題形式 備考
DBエンジニア データベーススペシャリスト IPA 4 62 選択・記述式
ORACLE MASTER Platinum Oracle社 60 実技式 研修・受験費用が高額な為、個人で受験するのは困難。
ORACLE MASTER Gold 3 56 選択式 9i以前のPlatinumと同等。現Platinumは実技有。
ORACLE MASTER Silver 2 52 9i以前のGoldと同等。
インフラエンジニア ネットワークスペシャリスト IPA 4 62 選択・記述式
情報セキュリティスペシャリスト 60
CCIE Cisco Systems社 58 選択・実技式
RHCA Red Hat社 56
プログラマ 応用情報技術者 IPA 3 56 選択・記述式
基本情報技術者試験 2 52 選択式
Java Silver Oracle社 52
運用管理 ITサービスマネージャ IPA 4 64 選択・記述・論述式

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ITエンジニアの将来性


ビジネスは、ITを活用する事で、Amazon.comのように既存の勢力を破壊しつつ、突き進む事が続く事が想定される事から、 その他の企業等も、この流れに乗らざるを得ません。 ITエンジニアは、その中心となる立場なので、将来性は高いと思われます。又、システムは、今までは、外注する事が、 多かったと思われますが、最近は、システム開発の高速化やコスト等の関係で、システムを自社で制作する内製化の動きも増えてますので、 企業内のITエンジニアの価値が向上すると考えられます。
※内製化はあくまで手段なので、シンクタンク系のパッケージ等よりも、費用対効果が高い場合のみ内製化する事が望ましいので、 この辺りの見積もりについても、ITエンジニアが担う部分が大きいと思われます。

又、ITは、私が以前触れたフレームワーク、共通ライブラリツール開発ツール等、又は、 クラウドサービス等を活用する事で、 更に効率化可能となりますので、その点について、注目していく事で、ITエンジニアは、更に仕事に幅を持たせる事が可能となり、その結果、 自らの収入や立場を向上させる事が可能となりますので、今後ともクリエイティブでやりがいのあるチャレンジブルな仕事であり続けると考えられます。

この他、日本は、IT分野では、ゲーム等を除くと、世界への影響度が小さいですが、おそらく、ITは、精密な機械等を作成する事が得意な日本に向いている 分野と思われるので、今後は、日本のITエンジニアも、英語を身に着ける事で、世界で活躍していければ、より将来性が確かになるはずです。


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